神戸ではたらく中年エンジニアのブログ

震災後に神戸で働きだしたジジイです。DBシステム、プログラムに機械装置、なんでも作ります。

ハーバード大卒の市長は、なぜ選挙違反をしたのか?高島りょうすけ君の場合

カネ持ってて頭もいい、なんで選挙違反を?

という疑問がアタマから離れず、この記事をまとめる。
まとめているうちに、権力の座につける人間というのは、こういうことなのかな、という感覚がわかった。

最近は裏金問題にハレンチ接待。権力者はやりたい放題で、なんでかというと、この世は権力者の作ったルールで動いているからだ。もし追及されても、「知りませんでした、ごめんなさい」で済むようになっている。

昨年、見事に権力の座についた、「史上最年少の市長」である、高島りょうすけ。

ちなみに、彼は自民党員でもある。

当選後、およそ1年、

安芸高田市の石丸市長のように、市議会とやりあうこともなく

明石市の元市長、泉房穂さんのような突破力もなく

この任期4年をつつがなく過ごすのだろう。

そして多分、「元市長」という肩書をひっさげて、政界入りしていくのだと思う。

そんな彼がやっていた選挙違反行為と、選挙の裏技を検証しつつ、違反を正すことのできない仕組みについて、考えていきたい。

選挙時間外でのビラ配りと連呼行為

公職選挙法第140条の二が禁止する「選挙期間外の選挙運動」に抵触する。

公職選挙法は、「権力をしばることができる」唯一の法律である。金持ち貧乏に関係なく、候補者たちが公平に選挙戦ができるように、いろんな制限がかけられる。

興味深いのは、高島くんが違反してるのは、この点だけで、他の戦略(後述する)については、注意深く守っているということだ。表現の自由である政治活動と、投票の権利である選挙期間。そのふたつの違いをしっかりと理解し、遵守している。そして、なぜこの点だけを堂々と破っていたのか、そこに着目してほしい。

 

(目次)

  1. 組織的な「違反行為」の証拠
  2. 選挙管理委員会は激おこだった
  3. カネでごり押しする選挙戦略
  4. 捕まらなければ、違反ではない

 

1.組織的な「違反行為」の証拠

具体的に言うと、選挙期間中に、

  • ビラ配り → 第百九条の六 に抵触
  • 時間外の連呼行為 → 第百四十条の二 に抵触

をしてた。それも、組織的に行っていた。

選挙戦初日の写真。JR芦屋駅北口前。通勤の人たちが多い。

8時前なので、他の候補者はタスキをつけて、「おはようございます」とだけ挨拶する。自分の名前を言うのは違反になる。自分の名前が書いてあるタスキとご挨拶。ここまでは選挙活動の範囲外として許されている。

撮影日時 2023/04/17 7:48

「高島りょうすけです!よろしくお願いします!」とハッキリと連呼していたが、この写真だけでは、連呼行為の証拠にはならない。ビラ配りのみの証拠である。

ビラ配りは、時間だけでなく場所についても明確な制限規定があるのだが、どちらも無視していた。ズルい。

後ろにいるのはS議員のスタッフ

こちらに、Exif情報を含むオリジナルのデータを貼っておく。撮影時間とGPS情報が見れる。

https://www.dropbox.com/scl/fi/gcy0a9ca2oofaarw3rfbk/PXL_20230416_224810920.jpg?rlkey=90e3uzwu4xybeknrhypxtjun5&dl=0

 

もうひとつは、同じ場所での「動いてて音もある証拠」

 

4月20日、7:18。おいおい朝早過ぎんだろ。
事務所をあげての選挙違反になる。事務員さんたちが、勝手にやるわけないので、誰かの指示のもと、行われている。
グリーンの服を着たおねーさんの、
「高島りょうすけと申します」

が完璧に聞き取れる。

後ろにチラリと見える青い服はN議員。彼は連続当選のベテランなのだが、この光景にはビックリした、と言ってた。

 

2.選挙管理委員会は激オコだった

これは注意して、取り締まってもらわないと。選管の局長さんに、聞いてみた。やっぱり違反だった。しかも選管は知っていた。

今回の違反状態は認識している
市長候補だけでなく、議員候補のヤツ等も同じことをしているようだ
選管が一生懸命つくった選挙活動のしおりに、ちゃんと書いてあるのに!
説明会もひらいて、ていねいに説明したのに!
選管には取締り権限はないけど、ケーサツと連携して取り締まることができるゾ!
議会の解散請求なんかもできるんだゾ!

おお、さすが選管、民主主義の良心。

では、どーするのか?

(今後の対策について)
オレ達の勤務は9時からなので、7時とか8時とかのことは知らない。
今回やり過ごせばもう関係ないから、次回からがんばるよう申し送りした。
お金を配ったとかじゃないので、ケーサツは動かないと思います。

 

およよー

こういう人たちは「前例になる」ことを極度に恐れる。
自分の担当のときになにも起きないよう、目をつぶる。
まあ「ちゃんとやってますアピール」は伝わった。
「申し送り」というのは、どこに、どのようにつたわるのだろうか?議会に取り上げられることもない。当たり前だ。当選した議員たちが、いまさら波風をたてる必要はない。見て見ぬふり、を決め込むということだ。

 

3.カネでごり押しする、きわどい選挙戦略

ここからは、高島くんの華麗なる選挙戦を振り返る。カネ持ってるぞー。

「おとうとの名前で選挙前活動」 違反度:グレー

まずはグレーな戦略について デイリー新潮さんが取り上げてた

選挙期間前なので、政治活動としてやってる

違反行為というには、前例がなく、判断が難しい。

でもズルい。

カネさえあれば、政治活動と称して、ここまでできるんだぞ、という見本である。

公職選挙法は、ポスター枚数や張り出し場所を制限することで、フェアに競争ができるようにしてるのに、裏技をカネのチカラでブーストしてるわけだ。

でもなぜ、こんなにカネも裏技も使えるのに、違反行為をしたんだ?

 

「自分磨きで鍛えたコミュ力」 違反度:白

自分磨き 伝え方トレーニングサービス kaeka

共同レッスンのコースが、¥382,800/6か月。なのでパーソナルだと、100万円くらいするのではないかな。もちろん指導内容は、とてもいいものなのだろう。

ハーバードまで行って、さらにトレーニングを積むとか、カネと気合が半端ないです。

自分磨きなので、自分のカネでやれば、違反でもなんでもない。

でもなぜ、これだけ自己鍛錬できる人間が、わざわざ違反行為をしたんだ?

 

「パンフレット全戸にばら撒き作戦」 違反度:白

これは、他の議員たちも声を揃えて、

うらやましい、カネあったら、ワシもやりたい

と言わしめる戦略である。

フルカラー印刷の政策提案集 すごいカネかけてつくってる

「高島りょうすけ」パンフレットを全戸にポスティング
36ページフルカラーの冊子を、全戸配布してた。約2万部として、印刷代だけでも100万円、さらに配布にいくらかかったのか?

通常の広告なら、全部で300万円はかかると思う。ただ、選挙違反かというとそうでなく、ちょうど選挙期間の前日(30日前)に配っているし、「市長候補」の文言もないので、政治活動にあたり、違反ではない。

それにしても「全戸配布」である。議員でなくても、うらやましい。

パンフレットは、こちらからダウンロードできる。

https://firebasestorage.googleapis.com/v0/b/ryosuke-takashima.appspot.com/o/document%2Ftakashima_seisaku.pdf?alt=media

なぜ、これだけいいタイミングで広告だせるのに、選挙当日に違反行為をしたんだ?

 

「ほかの政治家とのコラボ」 違反度:不明

こちらは選挙期間中に張り出された

 

こちらには「市長候補」という文言がない

こういう、ダブルネームのポスターを見るのは、珍しくなくなった。
政治団体としての活動であれば、選挙期間中でもうまいこと自分の名前をポスターで張り出すことができる。
なんにせよ、このポスターもどれくらい刷ったのだろうか?
どんだけカネ持ってんねん。うらやましいぞ。

他の市長がわざわざ応援も来る人物が、なぜ違反行為をしたんだ?

 

上記の見事でカネまみれな作戦は、

政治活動

選挙活動

このふたつの違い(バグ)をうまく利用している。

NHK党の立花孝志を彷彿とさせる。

では、その知恵を誰が授けたのか?

 

というわけで、選挙参謀の登場である。

選挙プランナーの松田馨氏」 違反度:不明

ギャラについては、コンサル料金なので不明。もちろん、選挙事務所での会計にはしてないだろうから、お金のうえではセーフ。

そして、松田氏はこう謳うのである

「選挙違反ゼロを徹底した上で、勝つための様々なサポートをご提供させていただきます。」

選挙違反ゼロ?

では、今回の違反行為は、松田氏の指示ではないということか。松田氏はその場にいなかった?

じゃあ、誰が事務所をあげて、時間外の声掛け、ビラ配りをやらせたんだ?

その判断は、誰がしたんだ?

 

4.捕まらなければ、違反ではない

権力をつかむには、
時勢
カネ
詐術(ずる)
どれかが必要になる。
高島くんは、全部使ったというのが、わかるだろう。

優秀で、実行力もあって、魅力も磨いた。資金力のあるバックがあり、カネはじゃぶじゃぶ使える。過ちを正す参謀もついてる。

そして最後の最後に、ズルをした。完全に真っ黒な違反行為をした。

 

ここで、選管の言ったことが思い出される

勤務は9時からなので、7時とか8時とかのことは知らない。
今回やり過ごせばもう関係ないから、次回からがんばるよう申し送りした。
お金を配ったとかじゃないので、ケーサツは動かないと思います。

そして、ようやく、わかった。

「なぜ、これだけ才能もカネもある人間が、違反行為をするのか」

違反行為は「選管の目の届かないところ」で行われた。

つまり、
違反として取り締まられなければ、違反ではない。

スピード違反と同じことだ。

現在、裏金の問題で、権力者たちが問い詰められてるが、あれも結局、
知らんかった 言われたら返します
程度で済むのだろう。

カネも詐術も、権力に染まった人間にとっては、思いのまま、やりたい放題なのだ。

 

権力をしばれる唯一の法律である公職選挙法。ここだけは守れよ。

 

ぜひ、取材力のあるメディアさんには、

に、事実確認をしていただきたい。

(本気で取材したければ、議員さんの実名など教えます)

 

最後に、そんな高島くんに、ひとつだけお願いがある。

ラグビーが趣味です」なんて言って欲しくない。

ラグビーは過酷なスポーツだが、「フェアに」試合をするから、選手は全力をだして戦い、見るほうも感動できるのだ。
どうか、ラグビーの尊厳を汚さないでください。

審判が見ていないなら、ズルもありですか。
まったく、どういう教育受けてきたんだよ。
あ、灘、東大、ハーバードでしたか。

 

(了)文責:松尾秀司郎